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● 『仏蘭西少女開発回想録』 第18回
みなさまこんにちは。 ストーンヘッズディレクターの三ツ矢新です。 毎度毎度、ここの前口上を考えるのが一番悩みます。 季節のネタも毎週だとすぐ尽きちゃうし、 ゲーム開発なんて引き籠ってパソコンに齧りついてる仕事ですから、 花鳥風月に思いを馳せるってのも、そもそも柄じゃない。 ……と、こんなことを書いてると、 じゃあ面白いことは何も無いのかオマエの人生には!? と、自虐気味になりそうですが、あるんですよ、楽しいことは。あるの! ただ個人的な出来事は、このスペースにはそぐわないし、 仕事に絡むことは色々とタイミングを揃えないといけない。 ディレクターやってると色々情報を耳にする反面、 立場上、黙ってなくちゃいけないことも多くてヤですね。 王様の耳はロバの耳。 キリヤマ隊長は垂れ気味の乳が好き。 こっちは公然の事実ですかそうですか。 そんなわけで、今週も早速行ってみましょう。 <仏蘭西少女開発回想録第18回 2009.01〜03> さて先週に引き続き、『仏蘭西少女』の音声収録の話です。 今回は執事・キャリバン役の空乃太陽さんのことを書きます。 前回書いた中国の収録に続いて、この執事の収録もなかなか厄介でした。 ……といっても、後にも書きますが、収録自体はそれほど厄介ではなかったんですね。 厄介だったのは、 「全てカタカナで表記されている執事の声のイメージ」 なんです。 『仏蘭西少女』をプレイした方ならご存知の通り、 この執事・キャリバンの台詞は、全てカタカナ表記です。 「ソロソロゴシュッキンノジカンデハゴザイマセンカ」 終始こんな感じの台詞ばっかりなんですね。 当然このままだと収録が面倒くさくて仕方ないので、 台本には同じ台詞の漢字仮名交じり版を併記したものを使用した(……はず)のですが、 問題は「それをどういう喋り方、声色で演技してもらうか?」 という点でした。 今だから言えることなんですが、 キャスティングの時点では明確なイメージは無かったんですね。 収録前までに出来た備えと言えば、 音声収録ディレクターとキャスティングを決める際、 声優の空乃太陽さんは器用だから何とかなるんじゃないか? という最低限(?)の保険を掛けるくらいが精いっぱいでした。 結果的にその保険は掛けておいて正解だったことになります。 『仏蘭西少女』の音声収録が始まり、年が明けて2009年。 いよいよ執事の収録が近付いてきた、ということで、 丸谷先生に最終的なイメージの摺り合わせをしても、 「ちょっと不気味で〜とか、無機質で〜とか、 ある程度漠然としたキーワードは出せるけど、具体的な指示までは難しい」 というお言葉。 僕は僕で似たようなものだったので、強くは出られません。 結局キャスティング当初と大差のない、 「収録最初の演技の方向性を決める時間帯に実際に聞いて調整するしかない」 と、そういう結論になりました。 音声収録の現場では程度や量の差こそあれ、 そういった撮り方――収録当日までどういう演技になるか分からない――というのは、 無いわけでは無いです。 音声はナマモノ、と言われる所以には、そういう部分によるところもあります。 特にワード数(台詞のクリック数)が、メインキャラ程多くないサブキャラの収録は、 往々にしてそういうことになりやすいですね。 ……とはいえ、大半のケースがキャスティング時にある程度のイメージは出来ているもので、 収録当日まで、演技のイメージにある種の不安を抱えている状態、というのは、 気持ちの良いものではありませんでした。 そして収録当日。 あるキャラクターの収録初日は、 開発スタッフと声優さんが実際に顔を合わせる日でもあるので、 いきなり音声を撮ったりしません。 まず、キャラの設定の説明をし、キャラクターのイメージにズレがないかを確認、 次にブースに入ってもらって、声優さんが当日までに台本で読んだイメージを聞き、 それを元に「じゃあこれで最後まで撮りましょう」という演技になるまで、 何度か短いシーンを繰り返し読んでもらうことになります。 執事役の空乃太陽さんには、 最初のキャラ設定の説明の段階で、 「こういう設定のキャラではあるんだけど、どういう喋り方なのか具体的なイメージは無いんです」 とストレートに話ました。 嫌な顔されるかな……? と内心ドキドキしたものですが、 空乃さんは、割とあっさり 「あ、じゃあ最初にいくつか考えてきたの喋りますんで〜」 と、フラットな表情でブースに入り、 聞こえてきたのが、ゲームに入ってるあの喋り方だったんですね。 最初にテストの台詞を聞いた時、 僕も丸谷先生も「なるほど! そうだったのか!」と思わず口にしていました。 漠然としかなかったキャリバンの喋り方の答えが、今目の前に!(耳だけど) この感覚を説明するのはちょっと難しいですね。 無理やりに例えるなら…… なんとなく体が重くて、原因不明のまま取りあえずマッサージに行ってみたところ、 「はあはあ、ここが悪いんですね、じゃあこの辺のツボとか利くでしょ」 「イダダダダッ、センセイ、ソコッ、まさにソコッ! グウゥ〜っ!!」 ……って感じでしょうか。 こういう時ほど、声優さんに頭が上がらない時はありません。 最終的に、喋り方に間延び感が出過ぎないように、 スピードの調整だけ若干行って、執事の収録はまさに杞憂、という言葉がぴったりの状況で、 その後これと言った障害もなく、スムーズに終わったのでした。 <続く> 『仏蘭西少女』の開発に関して聞いてみたいことがあれば、 下記のメールアドレスまでメールして下さい。 france_info@franceshojo.com 2010/09/10
● 『仏蘭西少女開発回想録』 第17回
みなさまこんにちは。 ストーンヘッズディレクターの三ツ矢新です。 9月です。うっそぉ! 早いなぁ〜…… 恐らくこんな感じで今年も終わっちゃって、 そういうのを繰り返してるうちに40、50と歳を食っていくんだなと思うと、 30ちょい過ぎの身としては、何かと思うところはあります。 歳を食って変わるものと変わらないものがありますね。 食欲と性欲はちょっとずつ変わってますね。 人それぞれ性癖や好みのシチュエーションが違うから云々、 という話をこの仕事をしてるとよく聞きますが、 個人でも随分変わるよなあ? というのを毎回思うんですね。 変わっていったという自覚は無いんだけど、 振り返ると変わってるわ、俺、みたいな。 10年くらい前に買ったエロ漫画やエロ同人誌を見ると、 当時のストライクゾーンは、キャラの年齢的にやや低めなんですね。 今でも基本低めなんですが、今なら見逃す球に手が出てましたからね。 数字にすると僅かな違いなんですけどね、 人によっては変わってる内に入らないと思うかもしれません。 でもその違いに拘ってしまうところが、まだ俺はやれる! と思う今日この頃です。 ……というわけで、今週もさっそく行ってみましょう。 <仏蘭西少女開発回想録 第17回> 今回は前回予告した通り、音声収録の話です。 少女や、舞子、香純などのメインキャラの話は、 昨年「中目黒わくわくモンキーパーク」で結構話してしまったので、 この場では他のキャラクターのことでも書くことにします。 『仏蘭西少女』はサブキャラの男率が普通のエロゲーに比べて高めなので、 男キャラの話です。 まずは蔡子才。 蔡子才の収録を思い出してみると、 真っ先に思い浮かぶのが中国語収録の時の体育会系のノリです。 舞子と子才は、二人の間で個人的な会話をする時は中国語で…… という設定だったので、当初から中国語収録の話はありました。 僕と丸谷先生の共通の知り合いに、 中国留学をしたことのあるライター(ジャッキー似)が居たので、 彼に収録に立ち会ってもらえば、何とかなるだろう、的なノリでした。 そんなノリだったので、やってみるまでは、 どういう音声が撮れるか、ディレクターの僕も、ライターの丸谷も、 音声ディレクターさんも、もちろん声優さんも全然分からない……。 そんな状況下での、中国語収録1番最初が、蔡子才でした。 声優さんは青菜炒眼さんです。 「この『眼』がポイントなんですよ。いいでしょ♪」 とニコニコしながら言われた時には、僕も丸谷も返す言葉に困りましたが、 それはさておき、中国語です。 『仏蘭西少女』での中国語収録の基本は 「リピートアフターミー」です。 スタッフ各位には、全てカタカナで表記された 中国語発音台本が渡されています。 とはいえ、カタカナで表記しきれない発音や、 文章の区切れ目(どこまでを一息で喋らないといけないのか)などは、 ただ一人のジャッキー似の彼を除いては全くわかりません。 僕も丸谷も音声ディレクターも、中国語はまるで知らないので、 「聞いててソレっぽければいいんじゃない?」 という雰囲気が収録現場を包んでいました。 ただし、ブースの中は違いました。 中国語講師が喋り、 青菜炒眼さんが繰り返す。 当然最初の方はうまくいきません。 簡単な一言二言のやりとりは、段々スムーズになってきますが、 ちょっと長台詞になると、当たり前のようにリテイクを重ねることになります。 結果として、時間は掛けてるんだけど、台本が中々消化されていかない……。 元々やれるかどうか分からない中国語収録ですから、 現場はやや妥協も已む無し、の空気になっていきます。 「あ、ちょっと違うな。けどもうテイク5だから、これでいい……か?」 みたいな雰囲気になると、 「なんか悔しいからもっかいやらせて下さい!」 との熱い声。 果ては、青菜炒眼さんも中国語分からないはずなのに、 「いや、なんか違うな……」 等と呟き出す始末。 「何が違うんスか、青菜さん!?」 もちろん思っても口に出しません。 収録後半にもなると、そんな青菜さんの熱い心が我々にも伝播し、 中国語講師が「いいんじゃない?」と言う中、 それ以外のメンバー全員が 「いーやもう1回だ。青菜さんなら出来る!」 と言い出すほど現場の空気は温まっていました。 ……というわけで、蔡子才の青菜炒眼さんの収録といえば、 まずこの話が思い浮かぶわけですが、他にも、
ということをまざまざと見せ付けられたものでした。 <続く> 『仏蘭西少女』の開発に関して聞いてみたいことがあれば、 下記のメールアドレスまでメールして下さい。 france_info@franceshojo.com 2010/09/03 過去の更新 2010年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 2009年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2008年 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 |